読書狂時代

ブックレビュアー・はるうがお送りする書評、読書コラム、本に関するアレコレ。

華やかに軽やかに破滅【名画で読み解く ブルボン王朝12の物語】(中野京子)

 

ヨーロッパの名門中の名門。

そして華やかなヴェルサイユ宮殿ロココ式など生んだ、ブルボン王朝。

彼らはいかに栄え、そして滅んでいったのか。

名画で読み解くシリーズ「ブルボン王朝編」である。

 

正直、いちばん名前がややこしかった。

太陽王を名乗る「ルイ14世」がいるのだけれど、最終的に「ルイ18世」まで登場して、著者は以前も言っていたけれど「なぜヨーロッパ王族はこんなにも名前のバリエーションが少ないのか」という問題にまず日本人はぶち当たる。

ルイとかシャルルとかアンリとか、こういうのってヨーロッパ史や世界史そのものを敬遠するいちばんの要因になっていると思うのだ(と、歴史好きの私は思う。だって、歴史が好きでもややこしいものは、ややこしい!)。

 

さて、ブルボン王朝の印象は「戦争」「革命」「優美」という感じだろうか。

 

戦争ばかり仕掛けて勝つことはあったとしても、莫大な経費と兵士は失うし、国土は荒れる(いつの時代もそうだけど、ろくなことを生まないのが戦争だな)。

 

ブルボン王朝はフランスの名門家のことなので、超有名なフランス革命が起こる。

バスティーユ牢獄を民衆が襲撃した、例の革命だ。

それ以外にも七月革命があり二月革命もある。

著者の言っている通りフランスって革命が好きなの?ってぐらい、革命が起きて、その都度「この王のやり方は間違っている!」と見直しているというのに、やっぱりまた革命が起きてしまう。

いかに国の舵取りというものが難しいということか分かる(それは現代においても同じ)。

 

華やかな面だけ見るのならばやっぱりヴェルサイユ宮殿は外せないだろう。

片田舎に造ったこの宮殿に王は籠り、こぞって貴族たちは自分たちの領土を他人に任せて一緒に籠ったらしい。

衛生的にも問題があったらしくて(お風呂は年に数回しか入らないから、香水を振りまきまくる!)、その暮らしの様子を読む限り羨ましくもなんともない。

王の手に触れるだけで病気が治ると信じられていた時代に生きていなかったせいもあるが、まるで現在のコロナウイルスのせいで「巣ごもり」をする我々のような暮らしを貴族をしていたようだ。

いや、コロナの巣ごもりよりももっと破滅を生む暮らしをしていたみたいだ。

実際、王はギロチン台に送られたりと破滅していったわけだし。

 

フランスの(現在の)イメージは、チーズ、ワイン、香水、あとは……凱旋門エッフェル塔

「花のパリ」と呼ばれる首都がある国・フランスは割と血生臭い歴史があると知る。

 

しかし、地続きヨーロッパ史ってカオスだな、と島国日本人は思うのである。

 

 

はるう