読書狂時代

ブックレビュアー・はるうがお送りする書評、読書コラム、本に関するアレコレ。

スキャンダルは一先ず置いておいて【名画で読み解く プロイセン王家12の物語】(中野京子)

 

長い群雄割拠の時代を経て、19世紀、プロイセンのホーエンツォレルン家はついにドイツを統一し、帝国を形成してヨーロッパ最強国の一角に食い込んだ。

名画とともに読み解く、プロイセンの歴史とホーエンツォレルン家の歴史。

著者の人気シリーズ第5弾!

 

 

プロイセンという国はもちろん今はなく、現在は私たちもよく知っている「ドイツ」という国なっている。

ドイツのイメージと言えば、じゃがいも、ビール、メルケル首相……。

そういえば私、そんなにドイツに対して「何か」の強烈なイメージを持っていないことに気づいた。

ヘタリア」という国を擬人化したアニメをちょっとだけ見ていたとき、ドイツは金髪の軍服の屈強な男性に擬人化されていた。

つまり、ドイツってそんなイメージなのだ。

軍服で、屈強で、なんかどうしようもなく「強そうだな」というイメージ。

 

実際、この本を読むと弱小で、いろんな国との様々な折衝や裏切りや戦争を経て領土を拡大していったプロイセンもといドイツということがよく分かる。

そんなプロイセンを仕切っていたホーエンツォレルン家(著者も言っていたけれど、すんごく言いにくい。ドイツ語は日本人には発音しにくいのかも)。

なんとも、あまりスキャンダラスではなく、真面目な感じを受けた。

 

前回、ハプスブルク家のこのシリーズを読んだのだけれど、血族結婚を繰り返すわ、血を守るためにひたすら娘を嫁がせ、嫁がされをするわ、王族は処刑されるわ、革命が起きて血みどろだわ、とにかく話題に事欠かない王朝だったために、こちらのホーエンツォレルン家はシンプルな世襲をし、ホーエンツォレルン家を守り、領土拡大をし、戦争をし、外交をし、えっと、なんかヨーロッパ史好きとしては物足りない……??

 

ドイツ人は質実剛健で、真面目で、勤勉と言われている(そこは日本人にも通じるところがある)。

華美なものは求めず(と、言いつつもフランスにかぶれていた時期はある)、なんというか、歴史にも真面目さを感じる。

富国強兵といえば日本も目指していた時期があるけれど、プロイセンはそこを地からいって、本当にそのまま成功を収めた。

結果的にプロイセンはドイツという国になってしまったけれど、同じ富国強兵を目指した日本と何が違ったのだろう。

一時期的には、どうして成功を収めたのだろう。

そこを考えてみると、ちょっとおもしろいかもしれない。

 

よりスキャンダラスな歴史を求めて読んだけれど(芸能人のスキャンダルよりよっぽどおもいしろいから)、なんとも真面目に国を作った人たちの歴史がそこにあって、ちょっとだけヨーロッパ史を見直してしまった。

ごめんなさい、ドイツさん。

 

 

 

はるう